あなたなら、どうする?(2) | ボヘミアの宝箱 お店スタッフの声

あなたなら、どうする?(2)

さて、働き始めて一番やったことは、日本の商社との商談の通訳でした。

この頃はまだ日本の商社側も、チェコのことを「共産圏の国」と見なしていて、

商談以外の雑談の場でも、何を話題に上げるかは、気を遣っていました。

 

例えば、チェコの共産主義体制はもう終わったのだから、政治の話は

なんでもオープンかと言えば、そんなことはないし、

いきなり共産主義を批判する議論をふっかけようにも、ふっかけられた

チェコ人の方も、どうしようもないわけで。

 

なぜか?国の政治体制が変わっても、国営会社の社員が全部入れ替わるわけ

じゃありません。私が入社した時の、ボヘミアガラスを扱う2つの国営会社は、

旧体制を代表する組織で、会社の重役達は、もちろん皆共産党員。

役員の大半は、大抵共産党内でも何かの役職についていたり、党に太いパイプを

持っていたりします。

国営会社の全社員が共産党員だったかどうかまでは知りませんが、課長・部長

といった、ある程度以上のの肩書を持つ人達は、全員例外なく党員でした。

 

そんなわけですから、表向き共産主義政権が終わった、と言っても、そうでない

国の私達が、あまりなんでも言える空気ではなかったのです。

だけれど、共に仕事していると、党員のはずの彼らにも、表向きの顔とは別に、

さまざまな個人の思いがあることがわかってきます。

 

私は若い頃、お酒がとてもよく飲めました。ビールぐらいじゃ酔わなかったし、

本当に酔おうと思ったら、酒量が増えるのでお金がかかるったらありません。

当時の日本では、「酒の飲める女」というのは、あまり歓迎されたものでは

ありませんでしたが、このことがチェコ人の上司には、絶大なる評価(?)を

受けました。

私の最初の上司は、私が本気で、一生懸命した仕事より、「酒の席を断らない」

「どんな飲み会も、最後までつきあう」ことの方を評価していたのではないか?

と本気で思っています。

 

別にそれを狙ってしたわけではありませんが、とことん酒席を共にする間に、

彼ら一人一人と、「共産党」との向き合い方が見えてくるようになりました。

最初はなんとも思っていませんでしたが、ある日ふと「この立場に自分が

置かれたら、私はどうするのだろう?」と思いました。

 

ここで言う共産党とは、既に政治概念でも主義でもなんでもありません。

生まれた国が、たまたま共産国家だった。

勉強をして、いい暮らしがしたければ、共産党に入ればいい。

組織の中で出世して、いい稼ぎを得たければ、共産党に入ればいい。

ある程度の地位と責任あるポジションで国外へ出て、国の代表として

他国の代表と対等に渡り合いたければ、共産主義に傾倒すればいい。

それが何を是として、何を正義とするかはどうでもよくて、

「いい暮らしと出世とやりがいを感じられる職業」につくためには、

共産党員になることが、第一歩。

自分が優秀で、有能であるだけでは絶対に這い上がれない国家体制。

自分だけでなく家族にもいい暮らしをさせてやりたい、子供にいい教育を

授けたい、それには党員になる以外、道がない。

 

あなたがもし、そんな体制の国に生まれたら、どうすると思いますか?

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