差別の構造(4)

  • 2020.05.02 Saturday
  • 18:27

通訳している最中に、たまにこんなことがありました。

 

チェコ人の上司が、日本の取引先に英語でとても失礼なことを言いました。

普段はそこそこ紳士的な人な振る舞いをする人だったので、私もちょっと

意外に思いながら、丁寧な日本語の表現に変えて、お客様にお伝えしたのですが、

上司のもの言いから、「蔑視感情」が伝わってしまったのです。

 

そのお客様は、全く英語を解さない人だったのに、

「いや、あんたは今大変丁寧な言葉にしてはったけど、この目の前に

おる人は、そんなニュアンスでは言っとらんやろ。バカにしとるの、わかんぞ!」

と強く睨みつけました。

 

あーあ、もうかばいきれないじゃん!

私は英語で、上司につぶやきました。

「あなたが言葉に込めた感情が伝わりました。これ以上コトを荒立てないために、

もうこの話題はやめて下さい。最終的に注文を持って帰りたいなら、

もうやめて下さい。」と。

 

しかしこの反対のこともありました。ずいぶんお年を召した日本の業者の方が

商談の最中に「(チェコのことを指して)ここら辺の国でできたもんは

粗悪やから、大した価値では売れん。せいぜい叩き売りや。」

当時のチェコ製のものの品質から言うと、あながち嘘でもないのですが、

「ここら辺」と言いながら、チェコ人の上司たちをちろっと見た目が、

明らかに「かわいそうな途上国」という感情を雄弁に伝えてしまったために、

チェコ人の上司たちがムッとしました。

 

チェコ人は、本当に聞かれたくない話になると、英語ではなくチェコ語に

スイッチします。でも当時の私は、チェコ語も聞けばかなり理解できたので、

彼らが物凄く悪い言葉で、そのおじいさんをなじっていることがわかりました。

チェコ人も(白人の例外には漏れず)プライドは高いです。

でも同時に賢くもあるので、金儲けもしっかりします。

そのおじいさんには、注文をさせるだけして、以後どれだけ買っても

一切の値引きはしなかったし、多少不良品があった時も、一切の温情ある

対応はしませんでした。

 

こういうことは数年に一度、あるかないかでしたが、

当時20代で若かった私は、商談の席で(なにくわぬ顔をしていましたが)、

胸中はドキドキしていました。

今ならもう、眉一つ動かさず、対応しますけれど。

 

(5)へつづく

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