しばらく前の話ですが、(3)

  • 2020.05.17 Sunday
  • 22:35

「モノって背景にストーリーが感じられると、モノの魅力がぐっと

上がると思うんですね。」

と番組案内役の、アンティークショップご主人が言っておられました。

 

そう。私がこの仕事をしながら、ずっと心がけてきたことも、それだった。

たまたま、一般の人では知り得ない角度から、ボヘミアガラスのあらゆる面に

触れる機会に恵まれたのだから、私の知る限りの歴史と、職人の情熱と、

それぞれのものが生まれてくる過程を、わかりやすくお伝えしたいと思って

きました。

背景を理解した上で、納得してお代を払って買って下さる皆さまの満足の

ために、長年心を尽くして伝え、語ってきました。

 

モノには、人間のようにしゃべる能力はないけど、「気」が宿ります。

さまざまな気が宿りますが、そのうちのどんな気が、どの人の心の琴線に

触れるかは、また一期一会のストーリー。だからこそ、古いものには、

新しいものにない魅力が宿ります。

そして新しいものには、これから歴史を共につむぐパートナーとの出逢いが

待っています。

 

ふと最後に、なにげなく聞いた言葉が、ひっかかってしまいました。

「歴史や伝統を慈(いつく)しむ、チェコの文化そのもの」

ーこれ別に、悪い言葉ではないですよね?誤った表現でもありません。

でも急に、私の胸の奥から、「そんなに簡単に言わないでくれよ!」という

叫びが聞こえました。

なんでだろう・・?としばらく考えたら、それは私がこれまでに仕事で関わった

のはなく、個人的に親しくしてきたすべてのチェコの友人たち、その先祖たちの

思いだったのかな?と気づきました。

 

チェコの歴史は、とんでもなく痛いのです。中世初めの人が住みだした頃から、

近代に至るまで、ずっと争いの絶えなかった土地です。

そこで生き抜いた、(エリート・支配階級ではない)貧しかった庶民の人たち

にこそ、本当の「人類の歴史の姿」があります。私には一般人のチェコの友人が

多かったために、そうした苦労や痛み、その結果人を簡単には信じられず、

ひねくれきってしまった複雑な精神構造を持つ

「チェコ人の、悲しくも多くの矛盾を抱えた本当の姿」

が入り込んで、私の心の中で生きてしまっているわけか。「参ったな・・・」と

呟かずにはいられませんでした。

だから録画したことは忘れていなかったのに、今日まで見られなかったのかな?

とも。

 

「消えかけた伝統を生かし続ける。それが私達の信念なのです。」と最後に

おっしゃっていた家具職人のおじさま。南蛮貿易も、同じ信念を持って、

チェコの良いもの、日本で紹介しています。

業界は違っても、どこか心通じるものを感じて番組を、見終えました。

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