食料品の原産国が、売り手によって勝手に改ざんされていたことが、ここのところ次々に明るみに出ています。ニュースを見る限りでは、バレているのは氷山の一角で、実のところ、なんでもやりたい放題なんだな、と感じます。
1円でも高く売れればいい。自分の所が少しでも儲けられれば、消費者が何を口に入れようが知ったことじゃない。偽装する会社の経営者は、最終的に口に入れる消費者にも、自社で扱っている食品にも、敬意を払っていませんね。扱う商品自体を「食いもの」にして、ただお金を儲けたいだけなのですから。
偽ブランドなら、服やバッグにも横行してます。ブランド名がつくだけで、(自分に似合うかどうか、使いこなせるかどうかはおいといて)高額なお金を払ってしまう消費者がいることにつけこんで、しこたまぼったくっているわけです。
ビーズの世界には、どんな偽装があるでしょうか。
5〜6年前に、日本で戦後最大のビーズブームがおきました。ビーズ愛好家の裾野が広がることはとても嬉しいのですが、案の定、市場に供給しきれない人気のあるビーズについて、偽者が出回るようになりました。
東京に、形の丸い物をこよなく愛する、頭のよい発明家がいらっしゃいました。なんとその方、1億円を投じて、当時最も人気のあるビーズ(チェコのものではありませんが)に光をあてて、その屈折度で、本物か偽者かを判別する機械を作りましたとさ。そして都内の全てのビーズショップで、そのビーズを買い、機械に通してみたのです。
その結果、本物だけを正規の価格で売る店と、本物に偽者を混ぜて格安でたたき売る店が、はっきりわかってしまいました。私はその結果を聞いた時に、「チェコのビーズでも、まもなく同じことが起こるだろう・・」と直感しました。
その翌年頃からでしょうか。怪しいチェコビーズを扱うお店が、出てき始めました。「いくらブームで生産が追いつかないからって、チェコビーズも質が落ちたわね」ーそんな事を私に言ってくる方に、どこでビーズを買ったのかと聞けば、必ず私が「怪しいぞ」とチェックしていたお店の名が出てきます。
ヤブロネックス・グループ社日本連絡事務所のマネージャーという立場上、ヤブロネックスのビーズで起こりうる不良品は、全て見ているわけですが、そのどれとも違う「変なビーズ、汚いガラス生地のビーズ」に、チェコの国旗がついて売られているのを見ると、お店でいや〜な気持ちになりました。
結局、そういうことをする会社は、ビーズを「一過性の食いもの」にしているだけで、最後には価格破壊をし、在庫処分して、次の流行りものに移っていくだけです。だから扱う「ビーズそのもの」に、愛も敬意もありません。
それよりもっとひどいのは、お金を出して買って下さるお客様を「騙している」ということです。
「20粒の中に、数粒ニセモノを混ぜてもわからないだろう、バレない、バレない。」ーそんな風に安易に考えているのでしょうが、たとえお客様が永遠に気づかなかったとしても、「偽者を売って、不当にお金を儲けた」という事実は変わりません。
そうしたところは、お店の店長レベルの人は全く知りませんから、
経営者の信念に、委ねられる部分ですね。
同じお金を儲けるにも、嘘をつかず、正直に商品を提供するか、1円でも儲けるために手段を選ばず、なんでもするか。
たとえ経営者本人しか知らない部分であっても、そうした商売に対する信念・理念は、会社の雰囲気や姿勢のどこかに、必ず現れます。ビーズの産地偽装をしていた会社は、社内にどこかおかしな所がありました。担当者は、まっすぐに人の目を見ない。会社全体にも、筋の通ったポリシーはありません。1円でも安く仕入れるために、1円でも価格を破壊して安売りをするために、どんなこともするわけですから。
私は、
2008年11月29日の「キットの登場」というブログの中でも書いたように、チェコのビーズを大切に、誇りに思っています。ボヘミアのビーズの良さや、知られざる価値を世に広めていくことが、私の使命ですが、それは決して安売りをすることではありません。
ただ、「なぜその値がするのか?」を、しっかり伝えていくことが大事だと思っています。
人は皆、そのものの価値をよく理解できた時に、お金を払って買おう!と思います
よね?
そう感じて頂くツールの1つとして、「ボヘミアの宝箱」をオープンしました。「宝箱」では、これからも決して、チェコビーズの安売りは致しません。でも扱うビーズについては、十分な解説をしたいと思います。
最後に、当店オリジナルデザインのキットは、今お休みしていますが、バージョンアップして準備が整ったら、また始める予定です。
今日はビーズの話でいっぱいになってしまったので、次回は、アクセサリーの産地偽装と偽ブランドについて、お話しすることにしましょう。
ビーズやアクセサリーの、産地偽装と偽ブランドについて(2) 2009.04.25