前回からの続きで、保育ママになった妹へのインタビューです。
保育ママになろうと思った直接のきっかけは、「少人数保育に興味を持ったから」。自身の核家族での子育て、保育園での集団保育の両方を見て、考えたそうです。
「集団保育はどうしても細かなところまで目が行き届かない。3歳以降なら集団保育の方が向いているが、最もきめ細やかなお世話が必要な1〜2歳児に対して、今の集団保育のありようは、親としてどうだろうか?だが、仕事を持つ親は働かざるをえない。ならば、働く親に代わって、自分が少しでも理想の保育を実現できないものか・・。」と。
それを聞いて、幼い頃から彼女を知っている姉の私は、驚いてしまいました。だって彼女は、若い頃から特に結婚願望もなく、子供も好きではありませんでしたから。
妹は28歳で結婚し、29歳で出産。そして31歳で離婚しました。離婚後に、働きながら自力で国家試験をパスし、33歳で保育士になりました。最初は民間の認証保育園で務めていました。
それまでは派遣社員などで、さまざまな企業で一般職をしていた彼女。なぜに離婚後に保育士を目指したのか。実はそこのところを、家族ながら私もつっこんで聞いたことはありませんでした。互いに自分の生活に必死で、余裕がなかったこともあり。
私達は4人姉妹です。ところがなぜか、一番末のこの保育ママになった妹が、姉妹の中で一番初めに出産しました。ですから3人いる姉の誰も、お産の経験者ではなかった上に、核家族でしたから、彼女はほとんど一人で初めての子育てをやることになりました。彼女曰く、
「自分が子育てをやってみて、その大変さ・つらさを思い知った。こんなに大変なら、世の多くの同じ思いをしている母親たちを、助ける側に回らなければ!!と思ったんだ。それまで全く関心を持っていなかった、自分の中の『母性』が目覚めた瞬間だった。」
なるほろ・・・、そんなことがあったのか。
彼女は、出産後しばらく専業主婦だった時代もあります。その時に、当時の旦那に「私には何が向いてると思う?」と聞き、「保母さん」と言われたこともきっかけの1つだったようです。またその彼のご家族に、「子供・弱者を愛すること」を教えてもらったと。(確かに、私達の育った家庭には、そういう気風がありませんでした。)
正直シングルマザーになった時には、姉として「これからどうなるんだろう?」とあれこれ心配しました。でも離婚して、一人親としての子育ても経験したからこそ、
「母親としてだけでなく、一人親のつらさ」もよ〜くわかり、現在の仕事を選ぶ強い動機になっていたんですね。知らぬ間に、末の妹が人間として大きく成長していたことを知りました。
また、このような形で社会貢献(=現代の働く子持ちの女性たちを、最も力強い側面からサポート)できるのだ、ということも知りました。
もし今、「どんな職業についたらいいかわからない・・」と悩む若い方がいらっしゃったら、こうした自宅を職場にした「保育ママ」という仕事があることも、是非知ってもらいたいと思いました。
あるいは、産休から社会復帰への壁にぶちあたり悩んでおられる方がいらしたら、何も社会復帰は外でのお勤めばかりではなく、自分の出産・育児経験をそのまま生かせる「保育ママ」という仕事があるんだ、ということに気づいて頂きたいとも思いました。
ちなみに、保育ママは持ち家でないとできないわけではありません。私の妹も、賃貸住宅に住んでいます。
ここで紹介するためのインタビューに応じてくれた妹は、最後に
「働く親御さんたちに、なにかエールが伝われば嬉しいです。がんばる親に、それを支援したいと思って活動している人もいるのだと、知ってもらいたい。そして、喜んで子供を産める社会に、日本がなってほしいと願っている。」
と言っていました。
携帯からも見られる彼女の保育ママHPは、
こちらから。この記事を読んで、まず「保育ママってどんな仕事?」と思われた方は、このHPを見ると具体的におわかりになり、イメージがつかみやすいと思います。
また、浦安市の広報は、
こちらから大きな画面でご覧になれます。
まだまだ一般に広くは知られていない「保育ママ」。その一方で、全国には何千人・何万人もの待機児童とその母親たちがあふれています。ここで書いたことが多くの人に知られ、また(私のように)知ってはいたが利用する勇気が持てなかったママにも安心してもらい、保育ママ制度がもっと活用されるようになることを、心から願います。
そして保育ママは、子育てが一段落したベテランお母さんだけでなく、ここで紹介したように、子育て真っ最中の若いママや、今の社会が抱える問題の直接的な解決につながる支援を目指して、敢えて取り組む人たちが選ぶ「尊い職業」の1つだということも、お伝えしたいと思います。
この記事を最初から読む方は、
こんな職業をご存知ですか?(1)からどうぞ。
またつづきは、
保育ママのはなし(3)からどうぞ。